新型コロナウイルスの影響で大きな打撃を受けたといわれる飲食業界。
私のお店も大きな大きな打撃を受けました。
しかし、いつまでもクヨクヨしていてもしょうがないと思います。
これから先、どのようにして生き残っていくかに考え方をシフトするしかありません。
と思っていた矢先、すごい変化が起こっていることに気づいたのでまとめてみます。
飲食業界は潰れない。しかし今までと同じことをやっていても生き残れない
個人のブログやユーチューバーなどの中には、「もう飲食店は終わりだ」と言う人がいます。
それを見てやばいなと思う人が多いと思うのですが、私はそうは考えていません。
それには、明確な理由があるのです。
飲食店は世界中にあるもので、日本では江戸時代以降、人々の生活を支えてきました。
私が最初に就職した外食チェーンでは、「衣食住を支える業種は強い」と言っていました。
それから30年経ちますが、それは間違いのないことだと思います。
つまり、コロナがあろうが何があろうが、飲食業界がなくなってしまうことはありえないわけです。
ただし、今までと一緒でいいというわけではありません。
コロナ以前の景気は、リーマンショックや東日本大震災以降の不景気を抜け出してから、明らかに良くなっていました。
「体感はない」と言う人もいましたが、不景気の時はとても安い金額で(例えば280円均一など)飲み食いのできる居酒屋が大流行しましたが、それが少なくなったことを見ても、少しだけ金回りが良くなったというのはお分かりいただけると思います。
しかし、そんな世の中を突然襲ったコロナショック。
これは世界的なもので、 「世界対戦と同じレベルの衝撃だ」「世界恐慌だ」などという人もいるほどです。
実は世界や日本全体がどうなろうと関係ない
こう考えると非常に恐ろしいのですが、私たちがやるべきなのは、まずは自分たちのお店を生き残らせていくこと。
世界全体がどうであろうと、日本全体がどうであろうと、 自分のお店が生き残ることが重要なわけで、それはある意味全体がどうというの関係がないことなのです。
その証拠に、日本全体が不景気に苦しむ中でも大成功した飲食店は多くあります。
ピンチはチャンスだとはよく言ったもの。そうやって生き残ってきた企業がたくさんあるわけです。
もし、これからの先行きに諦めを感じているのであれば、その考え方を変えてみてはいかがでしょうか。
今までと違うことは求められますが、それをいち早く掴み、自分のものにできれば必ず生き残っていけると思います。
私自身もそうしようと思っています。
多くの人が自宅での食事のメリットに気づいた
今回のコロナショックで人々の中に大きな変化が生まれました。
その一つが家での食事する機会が増えたということです。
それは自炊ではなく、デリバリーやテイクアウトなど、中食が増えたことを示します。
中には、今回の体験を通じて、
「テイクアウトって意外と楽しい」
「デリバリーで自宅で食べるのが楽だ」
と改めて感じた方もいるでしょう。
とはいえ、自炊する人が増えたというわけではないのもポイントです。
もちろん、コロナの一件で自炊をする機会が増えた方もいると思うのですが、それは今だけのこと。
また仕事が忙しくなれば、これまで自炊をしなかった人は、遠からず、また自炊をしない生活になると思います。
ちなみに私は、調理師の免許を持っていますし、子育て時代は毎日食事を作っていました。でも今は、家で自炊をすることはほぼありません。
つまりは、そうゆうことです(笑
さて、もう少し深掘りしていきましょう。
実は、今回のコロナショックで中食に大きな変化があったのです。
テイクアウト、デリバリーに起こった大きな変化は価格が上がったこと
今回のコロナショックでは、今までデリバリーを頼んだことのない人、または、数少なかった人がデリバリーを頼むようになったはずです。
これはウーバーイーツのライダーさんの多さを見ても確実ですよね。
もちろん今までもウーバーイーツはありましたし、ピザの出前などは何十年も前から存在します。その層が今回のコロナショックで広がったということです。
ちなみに、今までの中食は、スーパーやコンビニで、お惣菜や弁当を買うという方が多かったと思います。
さて、スーパーやコンビニで買うのと店舗からのデリバリーを受けるのと何が一番違うと思いますか?
それは価格です。
例をあげてみましょう。
わが家の近所にはスーパー「サミット」があります。5分も歩けば着く距離です。
ここで販売されているお弁当は、398円(税抜き)からあります。
また、近所にはたくさんのコンビニがあります。
最寄りで言えば、ファミリーマートが徒歩1分。セブンイレブンとローソンは徒歩5分という感じです。
私は普段自転車生活をしているので、自転車で5分で行けるコンビニは10店舗ほどあります(ありすぎですよね・・・)。
さてこれらのコンビニでも、480円くらいから弁当を買うことができます。
次に、ウーバーイーツを見てみましょう。
私が最近利用した中でお得感があった唐揚げ弁当は900円でした。これに送料と手数料がかかるので、支払った金額は1200円程度だったと思います。
近くのスーパーやコンビニであれば数百円で買えるのに、1200円も払ったわけです。
単純に比較すると全くお得ではありません。
しかし、まったく不満はなく、それどころか十分満足しているので、納得して利用しています。
その証拠に、何度もリピートしています。
高額でも納得するデリバリー利用の心理
これは実に不思議なことですが、以下のようなことが考えられます。
これまでは確かに、弁当に1200円を払うつもりはありませんでした。
その一方で、飲食店に行って弁当と同じようなものを1200円払うのであれば、納得して払っていました。
これは家で食べるということと、店で食べるという違いがあったからですね。
ところが今回のコロナショックで、この場所の違いによる価格の違いと言う感覚の違いがなくなったのではないかと思っています。
「いやいや、そんなことはないよ」という方もいるでしょう。
では、他の例を挙げてみますね。
宅配ピザが日本に登場したのは35年ぐらい前だったと思います(調べていないので自信がないですが)。
ずいぶん前から身近な存在でした。
この宅配ピザの価格は、Mサイズで1500円程度です。
ちなみに、ファミレスでは1000円程度。スーパーでは生のものであれば300円程度です。
それでも、みんなで集まるとか、家族で食べたいときには、何の躊躇もなくピザを頼んでいます。
つまり、「ピザ専門店のデリバリーのピザは高くて当然」と思っているわけです。
これは、ピザという食べ物が日本に浸透するのと同じ頃、宅配ピザというジャンルのピザも浸透してきたからです。
これと同じようなことが、今回のコロナショックで起きたのではないかと思っています。
つまり、「専門店のデリバリーだから、高くて当然」だと感じ、さらには「お店と同じ味が家でも楽しめるんだから、デリバリー料を払ってもお得じゃない?」と感じているのかもしれません。
Uber EATS導入で知った現実
では、私の店の例を挙げて見ましょう。
私の店は、今年1月から Uber eatsによるデリバリーを始めています。スポーツバーですから、チェーン店の居酒屋よりは価格がそもそも高いです。
さらに、Uber EATSに支払う手数料があまりにも高く、店側が100%負担することができません。そこで、価格に上乗せしています。
この上乗せ価格はいろいろな考え方があると思いますが、私の店ではお客さんと店が折半ぐらいの感覚で乗せています。
例えばオムライス。
店舗で食べれば900円ですが、ウーバーイーツに頼めば1100円となっています。
新宿という場所柄かもしれませんが、Uber EATSを単品で頼むという人が非常に多いです。お客さんは、これに配送料も負担するので、おそらく1500円ぐらい払っているはずです。
それでも、何度も頼んでくださる方が何人もいらっしゃいます。
つまり、高い価格でも、商品に便利さを加えたクオリティに納得し、バランスに問題はないと判断しているということです。
実はUber EATSを始めた当初は、「こんなに高く払う人なんていないんじゃないか」と思っていました。
でも、現実には、購入してくださる方がたくさんいらっしゃったわけです。
Uberライダーをやってみたら、もっと驚く世界があった
まだまだ驚く世界があります。
今回、店は営業自粛をしました。そこで、マスターがUberライダーをやってみることにしました。
すると、信じられないオーダーが入ります。
マックのポテト L サイズを単品で頼む人。
牛丼の松屋の豚汁単品を頼む人。
ビックリですよね。
松屋の牛丼を徒歩1分の向かいのビルに届けたこともあるそうです。
これってすごい感覚だと思いませんか?
こういう感覚を持つ人が今回のコロナショックで増えているのです。
ここには大きな大きなチャンスがあるはずだ
これは、もっともっと戦略的に活用して、大きく飛躍するチャンスにつなげるべきことです。
そして実際に動き出そうとしています。
これが成功するのかどうなのか、今は肌感覚で感じた段階で、本当にあっているのかどうかは現時点ではわかりません。
ただ、Uber EATSを店舗でやって、それ以外にライダーをやって感じたことは、他よりもずっとずっと強いことだと思っています。
なぜなら、この肌感覚からはじまることを次々とやって、15年間店を守ってきたわけですから。
緊急事態宣言が解除されたからと言って、飲食店にお客さんがすぐ戻ってくるとは言えません。戻ってくるにしても長い時間がかかるでしょう。半年または1年ぐらいかかるかもしれません。
それまで何もせずにただひたすらに我慢をするよりも、攻めに転じたいと思います。
私の店が取り込むことは、またこの場で報告させていただきます。報告をご期待ください。